適正価格の実態
タダ同然の物を高額で売るのが悪徳商法の常套手段です。 羽毛布団*1や絵画等、 ピンからキリまで価格に幅があって、かつ、ピンとキリの見分けが素人に難しい物件は、安物を高級価格で販売する手口が成り立ちます。
本当に大事なことは、価格が妥当かではなく、その価格に見合った価値を見いだせるかなのですが、 販売員に丸め込まれると、マインドコントロールによって、感覚が一時的に麻痺して、価値を誤認してしまうから怖い。 だからこそ、マインドコントロールに引っ掛からないために、何が適正価格かを判断するための知識が必要です。
絵画一般
適正価格の有無
「美術品に適正価格はない」と言う業者は不誠実なので、そのような業者とは取引しない方が身のためです。 何故なら、この言葉の99%は嘘だからです。 極まれな例外として適正価格がないことがあるだけで、ほぼ全ての場合は市場価格(実勢価格)が適正価格です。 「美術品は他の製品とは違う」と言い出したら、それは100%嘘です。 極めて希な例外は美術品だけではなく、ほぼ全ての種類の製品に見られます。
では、極まれな例外とは、どのようなケースでしょうか。 それは、極端な需要過多になっているケースです。 一般に、供給より需要が多いと、市場価格は釣り上がります。 そして、極端な需要過多になると、持ち主がなかなか手放さないために、製品が市場に出て来なくなります。 さて、ここで、1点だけオークションに出てきたとしましょう。 このとき、「金に糸目は付けない、どうしても欲しい」と思う人が2人居たら、競り合いの末に、通常時の市場価格より遥かに高い価格がつくことになります。 このような場合は、確かに、「適正価格がない」と言えます。 このような「適正価格がない」場合は、流通量が極端に少ない等の需要過多となるような背景があるため、通常時の市場価格もかなり高くなっています。 言い替えると、市場価格が安い、または、市場価格がつかないのに「適正価格がない」状態にはなり得ません。
一方、需要過多でなければ、市場にある程度の製品が出回ることになります。 そのような状態では、金に糸目を付けなくても手に入るため、通常時の市場価格と大差ない値段にしかなりません。 金に糸目を付けない人は、そうしないと手に入らないから大金を出すのです。 幾ら金に糸目を付けないと言っても、1万円で手に入る製品に100万円を出す馬鹿は居ません。 このような場合は、市場価格(実勢価格)が適正価格となります。
美術品においては、ピカソやゴッホ等の超有名画家の手描き絵において「適正価格がない」事例がしばしば発生します。 しかし、有名画家でない場合は、需要が少ないので、適正価格がなくなることはまずありません。 また、版画でも、供給量が多いので、適正価格がなくなることはまずありません。 まして、エウリアンが販売するような版画では、適正価格がなくなることはほぼ絶対にありません。 イラストや萌え絵で適正価格が0円となることはあっても、「適正価格がない」ことは絶対にあり得ません。
製造コスト
本格シルクスクリーンの製造原価
版画の製造原価を調べてみます。
「手作り篭の店」 制作期間 : 約8ヶ月
版 数 : 134版
色 数 : 170色超
摺り度数 : 400超
この写真では常に同一人物と見られる1人しか作業をしておらず、かつ、2人以上が並行して作業を行える作業スペースも見当たらないことから、この事例に置ける作業人数は1人と推定できます。 職人の年間人件費を1000万円と仮定し、かつ、職人がこの版画に専念していたと仮定すると、約8か月分の総人件費は667万円となります。 667万円の人件費に比べれば、材料費等は微々たるもので、誤差の範囲内でしょう。 この絵は400超摺りのうち285部販売されているので、1部当たりに換算した人件費は約2.4万円となります。 他人の作品の版画化を行なうだけの版画職人が高収入とは考え難いので、人件費を1000万円とするのはかなり高めの見積でしょう。 また、本当に「原作者との綿密な打ち合わせ」を行なっていたのであれば、スケジュールが合わないことによる空き時間も相当発生したことが予想されるため、職人がこの版画に専念していたとは限りません。 つまり、高めに見積もって1部当たりに換算した人件費が約2.34万円ということです。 この絵ならば、10万〜20万円くらいで販売されていても、数値計算上の辻褄は合います。 ただし、何のために、このような無駄な手間を掛けたかの説明は困難ですし、実際にはその何倍もの価格で販売されています。
シルクスクリーンの中でも超大作の部類に入る134版/170色超でも、1部当たりに換算した人件費は約2.34万円です。 もっと少ない版数で済むようなならば、もっと人件費は少ないでしょう。 機械で刷る工業印刷物であれば、ほとんど人件費は0と言って差し支えありません。
それに対して、手描きの絵は、売り物になるようなレベルともなれば、僅か1日で仕上げることは不可能です。 下絵だけでも1日以上かかるものです。 完成まで早い物でも1週間は必要でしょう。 有名なダヴィンチのモナリザは何年もかけて描かれたとされています。 絵師の人件費が先程の職人の人件費と同額と仮定すると、年間260日勤務(土日のみ休みで祝日無し)の場合には、1日あたり約3.8万円、1週間あたり19万円強となります。 売れない絵師であれば、版画職人よりも人件費が安い場合もあるでしょう。 しかし、絵師の人件費は生み出した絵の価値の分だけ上乗せされて然るべきであり、一定数以上の買い手のつく作品の絵師の適正な人件費は、版画化のみの職人よりも高くて然るべきはずです。 もし、そうでないなら、その絵師は不当に安く扱き使われています。 つまり、一定数以上の買い手のつく作品の絵師を前提とするならば、手描き絵の適正な人件費は版画のそれを明らかに上回ります。
ということは、ちょっと考えれば分かるような当たり前の事です。 少ない手間と経費で複製を作るために版画を刷るのだから、版画の方が経費が掛かるのでは本末転倒です。 1部当たりに換算した経費が手描きよりも増えるなら、版画で285部刷るよりは285枚手描きした方がマシです。 この世に285枚の複製がある1作品よりは、この世に各1枚しかない285作品の方が高く売れます。 だから、後者の方が安く作れるなら、誰だって後者を選ぶはずです。
以上のとおり、手描きの絵の方が版画よりも経費は確実に高くなります。 製造コストの面で見れば、手描きよりも版画の方が明らかに安上がりです。
アニメ絵の製造原価
正確に焼き付けられた遮光紙はシルクの版の焼き付けに使用します。
レーザー光で切った遮光紙をプリンターでシルクの枠に焼き付け、水洗いします。 光の当たらない部分が水に溶け、インクを通すシルクの版ができます。
意味不明な文章であるが、無理矢理解読する。 おそらく、「レーザー光で切った遮光紙」は、その前の「正確に焼き付けられた遮光紙」と同義であろう。 そして、「プリンター」とは、「レーザー光で切った遮光紙」をフィルムとして写真感光(=「焼き付け」)させる装置のことと思われる。 「シルクの枠」には、あらかじめ感光乳液が塗られており、写真感光させることによって、「光の当たらない部分が水に溶け、インクを通すシルクの版ができます」ということだろう。 以上、ここまでの工程は、ほとんど機械が自動的に行う作業である。
柔らかに発色するパールの効果を高めるためにジクレーの前段階として特殊な刷りを行っています。
ラメやパール粉を透明インクに混ぜてシルク用のインクに調合します。
ラメやパール粉は光沢を出すための塗装材料である。 これを「透明インクに混ぜてシルク用のインクに調合」ということは、このインクは光沢を出すためだけのインクとなる。 つまり、このケースでは、絵の一部に光沢を出すためだけに、シルク版を使っているわけである。 そして、写真に写っているのは3版である。
先の作品「手作り篭の店」の例を元に、3版20摺りにおける1部当たりの人件費を計算する。 先の例での版制作は、134版で6ヶ月(年間人件費を1000万円とすると500万円)なので、3版あたりは約11.2万円。 また、先の例での摺りは、170色285部で2ヶ月(年間人件費を1000万円とすると約167万円)なので、3版20部あたりだと約0.2万円。 全て手作業であった場合は、合計の人件費は11.4万円であり、1部あたり換算で約5700円となる。 ただし、アールジュネスの場合は、版制作が機械工程であると明言されているので、この部分の人件費がほぼ0円となる。 結果、1部あたりの人件費は100円程度にしかならない。
これに印刷代を加えた額が、製造原価となる。 高詳細オフセット(A2ポスター)なら片面フルカラー25枚で38,210円(1枚当たり1,500円強)、ジークレー(アイリス)でもA2版で1枚当たり6千円程度である。 業務用プリンタを自社で用意して自社で印刷すれば、もっと安くなるだろう。 結果として、原価合計は1万円にも満たない。
価格構成比
純珪一氏のブログで、『メガミマガジン100号発売記念展』における印税率が5%となっていたので、他の著作物の印税率と比較してみます。
率だけ見ると、一見して、他の著作物とそれほど遜色がないようにも見えます。 しかし、次のような違いがあるため、率だけでの単純比較は出来ません。
- 他の著作物では小売店や卸売業の取り分があるが、絵画商法は直営である
- 販売価格が天と地ほど違うので、価格全体に占める必要経費の割合が違う
佐藤秀峰氏の日記に、ある単行本の価格構成が書かれていました。
手元に、ある単行本の資料がありますので下に記します。
本体価格 515円
制作部数 50,291冊
売上げ 17,352,910円
用紙代 1,725,210円
版下代 12,800円
凸版代 1,100円
写植代 28,700円
印刷代 853,705円
製本代 1,081,256円
加工、付録品代 201,629円
原稿料 8,000円
印税 2,584,837円
直接人件費 989,682円
小計 7,486,919円
1冊単価150.30円
引用部の「売上げ」が出版社から見た売上額と推定されます。 尚、音楽CDの印税対象は出庫枚数の80%となっています。 漫画単行本の場合も、作家は「本が売れ残って在庫を抱えるリスクもない」ということなので、出庫数量に対して印税計算を行なっているようです。 一方で、絵画商法の場合は、「お客様よりお申し込みのあった枚数分」にサインを入れ、「サイン入れをして頂いた月の月末締め、翌月末払い」となっているので、販売数量に対して印税計算を行なっているようです。
以上のことから、かつ、絵画商法の経費を高めに見積もって、価格構成比を作図してみました。
取り分を簡単にまとめます(漫画単行本のは返品率20%の図を採用)。
発行元の取り分の比だけでなく、発行元のリスク負担の度合いにも違いが見られます。 漫画単行本は返品率57%で赤字となります。 一方で、絵画商法では、完売率が100%でも5%でも販売会社留保分の比率は殆ど変わりません。 つまり、漫画単行本において出版社は一定のリスクを負担しているのに対して、漫画単行本において販売会社は殆どリスクを負担していません。
絵画商法の経費を高めに見積もっているので、絵画販売会社の取り分はもっと多いかもしれません。 また、佐藤秀峰氏は雑誌の赤字を単行本の売上で補填していると証言されているので、漫画単行本における出版社の実質的な取り分はもっと少ないと見て良いでしょう。*2
雑誌はすでに崩壊していて、例えば、ある週刊漫画雑誌などは毎週発行するたびに2000万円以上の赤字を出しています。
週刊で年50冊発行する訳ですから、1年で10億円の赤字です。
それを単行本の売り上げで埋めている状況です。
以上のとおり、絵画商法においては、業者がボッタクリ過ぎで、かつ、作家の印税が安過ぎます。
希少性
言うまでもなく、版画よりも手描きの絵の方がずっと希少性があります。 この世に1枚しかない絵と、285枚の複製がある絵のどちらが希少性が高いかと言えば、言うまでも、前者の方です。 だから、希少性の面で見ても、手描きよりも版画の方が明らかに安上がりです。
価格まとめ
以上のとおり、どのような側面から見ても、手描きよりも版画の方が安上がりです。 よって、複製版画が、元絵よりも高くなることは有り得ません。 もし、複製版画であるにも関わらず高価な値がつく作品があるとすれば、その作品の元絵は天文学的な価格となるでしょう。
美術絵画
手描き絵画
美術絵画には、1千万円以上、いやいや、億単位の値がつく絵が実在する。 しかし、そのような価格がつく絵は、素人でも知っているような超有名かつ超人気の超別格作品だけであり、現存数が極めて限られている。 超別格作品を除けば、有名な大家の絵でも百万円程度が関の山である。 数十万円の値がつけば、かなり評判の良い絵である。
しかし、デパートで取り扱われるプロと呼ばれる画家で、号価格が2万5千円以下ということはほとんどありません。
このように、価格の決定は、2万5千円〜掲載雑誌雅号の間で作家の人気・経歴を眺めながら画商と作家とデパートが相談して決定されるのが通例です。
また、人気がなくなったりデパートでも売れなくなると、 自然と取り扱ってくれなくなるので厳しいですね!
では、下にその号価格とサイズの関係を表にしてみましょう。
号数(サイズ) 価格 F1号 画号×2倍(円) SM (F2号) 画号×2.5倍(円) F3号 画号×3倍(円) F4号 画号×4倍(円) F6号 画号×6倍(円) F8号 画号×8倍(円) F10号 画号×10倍(円) F12号 画号×12倍(円) F15号 画号×15倍(円) F20号 画号×20倍(円) F30号 画号×25〜30倍(円) F40号 画号×35〜40倍(円) F50号 画号×40〜50倍(円) F100号 画号×70〜80倍(円)
まず、基本が油絵(油彩画)になります。一般に号価格1万円ということは、油絵の号価格が1万円ということです。洋画作家は、油絵以外にもアクリル画、水彩画(透明水彩・ガッシュ=不透明水彩)、パステル画等を描きます。
油絵・アクリル画は、キャンバスやキャンバスボードに描かれていますので、耐久年数もあり、それらの価格はほぼ同じと考えられておりますが、水彩画(透明水彩・ガッシュ=不透明水彩)、パステル画等は、水彩紙等に描かれているため、対応年数が低くまた短時間で描くということもあり、その分価格は低めで考えられています。 一般に油彩画・アクリル画に比べて、水彩画・パステル画は、その1/3〜2/3倍くらいの価格が付けられているといっていいでしょう。その作家の描きこみ具合や、経歴、また画商・画廊の考え方にもよって若干の変動はありますがね・・・。
「デパートで取り扱われるプロと呼ばれる画家」の最低価格で計算すると、A3版の直筆油絵・アクリル画が15万円(F4号が若干A4より大きく、F6号がほぼA3サイズ)。
美術版画
手描き絵に比べて、製造コストでも希少価値でも劣る版画の価格は、安い。 東京国立近代美術館が所蔵するような名の知れた画家の歴史的価値の高い版画でさえ、100点セットで揃っていて1枚当たり7.5万円にしかならない。 まれに版画でも数十万円の値がつくこともあるが、それこそが超別格クラスであると言える。
上記のような事情から、美術界ではもちろんオリジナル版画のほうが評価が高く、ピカソの場合など「貧しき食事」という版画制作開始時(1904年)に刷られたモノクロ銅版画が、オークションで軽く1000万円を超えてしまうのに対して、複製版画(エスタンプ)にいたっては、10〜30万円がそこそこというような価格となってあらわれたりします。
有名作家以外のオリジナル版画には市場価格が付かず、作家又は取り扱い業者の付けた価格で売買されます。オリジナル以外が出回ることはまずないので、オリジナル版画であるかどうかを気にする必要もありません。これらの作品の中には芸術性の高い優れた作品も多く、価格的にも手軽に買えるので、インテリアアートに適しています。
また、価格が安いのがメリットであるはずのジクレーによる版画をびっくりするような高額で販売しているケースもあります。
好きな有名作家の絵を飾りたいという方には、複製版画もおすすめです。雰囲気作りの点では同じ作家のオリジナル版画と遜色ないものが手軽な金額(普通は10万円以下)で購入できます。 そして、新しい版画技法として登場したジクレー版画は、美しい仕上がりに価格もリーズナブルでインテリアアート向きといえます。
以上、まとめると次のとおり。
- 有名作家以外は、オリジナル版画でも市場価格がつかない(市場評価=0円)
- 有名作家でも、複製版画は10万円以下が一般的で、高くても10〜30万円がそこそこ
- 価格が安いはずのジクレー(ミクスドメディアはもっと安い)をびっくりするような高額で販売する悪徳業者がいる
尚、ここで言う「作家又は取り扱い業者の付けた価格」が「びっくりするような高額」を想定していないことは文脈から読み取れる。 ちなみに、コストは、ジクレー(アイリス)>ミクスドメディア(オフセット印刷+α)>高詳細オフセット印刷である。
萌え絵
需要
企業の応接室や社長室に美術絵画を飾っている光景を思い浮かべて欲しい。 これは、バブルの頃は決して珍しくない光景だった。 応接室や社長室に通されると、社長さんか偉い人が絵画の自慢話をする、ということも珍しくはなかった。
さて、今の話の「美術絵画」を萌え絵に置き換えて考えてみて欲しい。 企業の応接室や社長室に萌え絵を飾っている光景・・・なんて、普通に考えてもあり得ないだろう。 ましてや、社長さんか偉い人がその萌え絵の自慢話をするなんてことは、天地がひっくり返ってもあり得ない。 もし、実際に、そんなことを体験したとしたら「この会社大丈夫か?」と本気で心配するだろう。
では、何故、美術絵画ではアリの話が、萌え絵ではナシになるのか。 それは、美術絵画が、美術絵画の価値が分かるマニアだけの物ではないからだ。 そして、萌え絵が、萌え絵の価値が分かるオタクだけの物だからだ。 ここで、仮に、本物のゴッホの絵を手に入れたとする。 そのことを知った人は、例外無く、凄いと褒めるだろう。 全く美術絵画に興味がない素人であっても、凄いと思うはずである。 美術絵画は、それほど一般人にも受け入れられている。 だからこそ、美術市場は大きな市場を形成しているのである。 美術絵画に興味を持たない素人までもが大金を出して買う、それが美術絵画の世界である。
一方で、萌え絵は、オタク以外には全く受けない。 萌え絵を手に入れて凄いと思ってくれるのはオタク仲間だけである。 萌え絵を持っているというだけで、一般人は十歩も百歩も引いてしまう。 まして、萌え絵に大金をつぎ込んだと知られたら、一般人は遙か彼方に逃げ出してしまうだろう。 いや、同じオタクでさえ大金には引くかも知れない。 オタクの大多数も「何十万円も払ってまで欲しいか?」と考えるだろう。
そう、萌え絵は、美術絵画と比べて、市場があまりに狭すぎるのである。 その狭さは、まともな商売をして利益を上げるのは不可能なくらいである。
供給
全部合わせて40人くらいの作家がいる。 しかし、この中には、一般人にも知られているような人は居ない。 一番人気のある人でも、オタクなら名前を知っているという程度である。 言っては悪いが、このメンツでは、一般人相手に商売するのは無理であろう。
さて、一人当たり10作品×50エディション供給していると仮定すると、版画の総数は2万枚にもなる。 そして、これからも販売の手をどんどん広げていくなら、もっと数は増えるだろう。 しかし、常識で考えて、こんなに買う奴が居るわけがない。 市場の狭さと比べれば、明らかに、供給過剰だろう。 このような供給過剰状態では、まともな価格がつくはずが無いのである。
大家の作品
さて、では、オタクだけではなく、少しは一般人も認めてくれそうな作家ならどうか。 漫画好きでなくても名前くらい知っているような有名漫画家ならどうだろうか。 たとえば、石ノ森章太郎や松本零士クラスなら、一般人でも名前くらいは知っているだろう。 仮面ライダーや銀河鉄道999の作家と言えば、分からない人の方が少ないのではないか。 しかし、石ノ森章太郎や松本零士クラスの作品でも数万円程度の評価額に過ぎない。 このクラスに全く届かない人達の作品の評価がどの程度か推して知るべし、というべきか。
常識的に考えて売れるはずもないし、現実的にも売れていない。 それが「二次元」作品の評価である。
販売価格
萌え絵の場合、版画として売られる作品の殆どは、ミクスドメディアと称して、オフセット印刷にニスを塗っただけの物である。 ハッキリ言って、製造原価は、1枚千円もしない。 つまり、9割引で売っても儲けが出る品物である。 だから、買う気の無い素振りを見せると、簡単に値下げして来る。 簡単に値下げしてしまうことが、ボッタクリの良い証拠である。
値下げしたとき、販売員が赤字だと言うのは大嘘である。 一見の客相手に買えと勧めておいて、赤字になるなんてあり得ないのである。 値札の価格が適正なら、無理に値下げをしなくても買ってくれる客は幾らでも居るはずである。 それなのに、わざわざ、赤字になってまで一見の客に強引に買わせる必要はない。 一見の客に値引きしてでも強引に買わせるのは、本当は赤字どころか、売れば大儲けになるからである。 値札の価格で自発的に買う奴はいないから、一見の客を強引に勧誘して買わせるのである。 本当は2万円で売っても利益が出るのに、25万円と表示しているのである。 これは、景品表示法に反する二重価格である。
第4二重価格表示について
3希望小売価格を比較対照価格とする二重価格表示について
(2)不当表示に該当するおそれのある表示
希望小売価格を比較対照価格とする次のような二重価格表示は,不当表示に該当するおそれがある。
3希望小売価格を比較対照価格とする二重価格表示について
ウ[1]プライベートブランド商品について小売業者が自ら設定した価格,[2]製造業者等が専ら自ら小売販売している商品について自ら設定した価格,又は[3]特定の小売業者が専ら販売している商品について製造業者等が当該小売業者の意向を受けて設定した価格を,希望小売価格として比較対照価格に用いること。
普通の商売では、こんなに酷い二重価格表示をしている商品はない。 たとえば、家電製品は、仕入れ値が希望小売価格の5〜6割程度であることが多い。 まれに、8〜9割で仕入れている商品もあるが、多くは5〜6割程度である。 つまり、家電製品の場合は、店側が許容できるギリギリの価格と比べて、値札の価格は倍にもならない。
しかし、一方で、絵画商法では、十分に利益の出る価格の十倍以上の値段をつけているのである。 つまり、客の無知につけ込んでボッタクリを働いているのである。 しかも、ただのボッタクリではない。 客を騙して、値札の価格が適正価格であると誤認させる詐欺を働いているのである。 騙されて泣くのが嫌なら、その事実は、しっかりと把握しておくべきだろう。
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