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訪問販売

第二章 訪問販売、通信販売及び電話勧誘販売 第一節 定義
(定義)
第二条 この章及び第五十八条の四第一項において「訪問販売」とは、次に掲げるものをいう。
一 販売業者又は役務の提供の事業を営む者(以下「役務提供事業者」という。)が営業所、代理店その他の主務省令で定める場所(以下「営業所等」という。)以外の場所において、売買契約の申込みを受け、若しくは売買契約を締結して行う商品若しくは指定権利の販売又は役務を有償で提供する契約(以下「役務提供契約」という。)の申込みを受け、若しくは役務提供契約を締結して行う役務の提供
二 販売業者又は役務提供事業者が、営業所等において、営業所等以外の場所において呼び止めて営業所等に同行させた者その他政令で定める方法により誘引した者(以下「特定顧客」という。)から売買契約の申込みを受け、若しくは特定顧客と売買契約を締結して行う商品若しくは指定権利の販売又は特定顧客から役務提供契約の申込みを受け、若しくは特定顧客と役務提供契約を締結して行う役務の提供


第二節 訪問販売
(訪問販売における氏名等の明示)
第三条 販売業者又は役務提供事業者は、訪問販売をしようとするときは、その勧誘に先立つて、その相手方に対し、販売業者又は役務提供事業者の氏名又は名称、売買契約又は役務提供契約の締結について勧誘をする目的である旨及び当該勧誘に係る商品若しくは権利又は役務の種類を明らかにしなければならない。
(契約を締結しない旨の意思を表示した者に対する勧誘の禁止等)
第三条の二 販売業者又は役務提供事業者は、訪問販売をしようとするときは、その相手方に対し、勧誘を受ける意思があることを確認するよう努めなければならない
2 販売業者又は役務提供事業者は、訪問販売に係る売買契約又は役務提供契約を締結しない旨の意思を表示した者に対し、当該売買契約又は当該役務提供契約の締結について勧誘をしてはならない
(訪問販売における書面の交付)
第四条 販売業者又は役務提供事業者は、営業所等以外の場所において商品若しくは指定権利につき売買契約の申込みを受け、若しくは役務につき役務提供契約の申込みを受けたとき又は営業所等において特定顧客から商品若しくは指定権利につき売買契約の申込みを受け、若しくは役務につき役務提供契約の申込みを受けたときは、直ちに、主務省令で定めるところにより、次の事項についてその申込みの内容を記載した書面をその申込みをした者に交付しなければならない。ただし、その申込みを受けた際その売買契約又は役務提供契約を締結した場合においては、この限りでない。
一 商品若しくは権利又は役務の種類
二 商品若しくは権利の販売価格又は役務の対価
三 商品若しくは権利の代金又は役務の対価の支払の時期及び方法
四 商品の引渡時期若しくは権利の移転時期又は役務の提供時期
五 第九条第一項の規定による売買契約若しくは役務提供契約の申込みの撤回又は売買契約若しくは役務提供契約の解除に関する事項(同条第二項から第七項までの規定に関する事項(第二十六条第三項又は第四項の規定の適用がある場合にあつては、同条第三項又は第四項の規定に関する事項を含む。)を含む。)
六 前各号に掲げるもののほか、主務省令で定める事項
第五条 販売業者又は役務提供事業者は、次の各号のいずれかに該当するときは、次項に規定する場合を除き、遅滞なく(前条ただし書に規定する場合に該当するときは、直ちに)、主務省令で定めるところにより、同条各号の事項(同条第五号の事項については、売買契約又は役務提供契約の解除に関する事項に限る。)についてその売買契約又は役務提供契約の内容を明らかにする書面を購入者又は役務の提供を受ける者に交付しなければならない。
一 営業所等以外の場所において、商品若しくは指定権利につき売買契約を締結したとき又は役務につき役務提供契約を締結したとき(営業所等において特定顧客以外の顧客から申込みを受け、営業所等以外の場所において売買契約又は役務提供契約を締結したときを除く。)。
二 営業所等以外の場所において商品若しくは指定権利又は役務につき売買契約又は役務提供契約の申込みを受け、営業所等においてその売買契約又は役務提供契約を締結したとき。
三 営業所等において、特定顧客と商品若しくは指定権利につき売買契約を締結したとき又は役務につき役務提供契約を締結したとき。
2 販売業者又は役務提供事業者は、前項各号のいずれかに該当する場合において、その売買契約又は役務提供契約を締結した際に、商品を引き渡し、若しくは指定権利を移転し、又は役務を提供し、かつ、商品若しくは指定権利の代金又は役務の対価の全部を受領したときは、直ちに、主務省令で定めるところにより、前条第一号及び第二号の事項並びに同条第五号の事項のうち売買契約又は役務提供契約の解除に関する事項その他主務省令で定める事項を記載した書面を購入者又は役務の提供を受ける者に交付しなければならない。
(禁止行為)
第六条  販売業者又は役務提供事業者は、訪問販売に係る売買契約若しくは役務提供契約の締結について勧誘をするに際し、又は訪問販売に係る売買契約若しくは役務提供契約の申込みの撤回若しくは解除を妨げるため、次の事項につき、不実のことを告げる行為をしてはならない
一  商品の種類及びその性能若しくは品質又は権利若しくは役務の種類及びこれらの内容その他これらに類するものとして主務省令で定める事項
二  商品若しくは権利の販売価格又は役務の対価
三  商品若しくは権利の代金又は役務の対価の支払の時期及び方法
四  商品の引渡時期若しくは権利の移転時期又は役務の提供時期
五  当該売買契約若しくは当該役務提供契約の申込みの撤回又は当該売買契約若しくは当該役務提供契約の解除に関する事項(第九条第一項から第七項までの規定に関する事項(第二十六条第三項又は第四項の規定の適用がある場合にあつては、同条第三項又は第四項の規定に関する事項を含む。)を含む。)
六  顧客が当該売買契約又は当該役務提供契約の締結を必要とする事情に関する事項
七  前各号に掲げるもののほか、当該売買契約又は当該役務提供契約に関する事項であつて、顧客又は購入者若しくは役務の提供を受ける者の判断に影響を及ぼすこととなる重要なもの
2  販売業者又は役務提供事業者は、訪問販売に係る売買契約又は役務提供契約の締結について勧誘をするに際し、前項第一号から第五号までに掲げる事項につき、故意に事実を告げない行為をしてはならない
3  販売業者又は役務提供事業者は、訪問販売に係る売買契約若しくは役務提供契約を締結させ、又は訪問販売に係る売買契約若しくは役務提供契約の申込みの撤回若しくは解除を妨げるため、人を威迫して困惑させてはならない。
4  販売業者又は役務提供事業者は、訪問販売に係る売買契約又は役務提供契約の締結について勧誘をするためのものであることを告げずに営業所等以外の場所において呼び止めて同行させることその他政令で定める方法により誘引した者に対し、公衆の出入りする場所以外の場所において、当該売買契約又は当該役務提供契約の締結について勧誘をしてはならない。


(業務の停止等)
第八条  主務大臣は、販売業者若しくは役務提供事業者が第三条、第三条の二第二項若しくは第四条から第六条までの規定に違反し若しくは前条各号に掲げる行為をした場合において訪問販売に係る取引の公正及び購入者若しくは役務の提供を受ける者の利益が著しく害されるおそれがあると認めるとき、又は販売業者若しくは役務提供事業者が同条の規定による指示に従わないときは、その販売業者又は役務提供事業者に対し、一年以内の期間を限り、訪問販売に関する業務の全部又は一部を停止すべきことを命ずることができる。


(訪問販売における契約の申込みの撤回等)
第九条  販売業者若しくは役務提供事業者が営業所等以外の場所において商品若しくは指定権利若しくは役務につき売買契約若しくは役務提供契約の申込みを受けた場合若しくは販売業者若しくは役務提供事業者が営業所等において特定顧客から商品若しくは指定権利若しくは役務につき売買契約若しくは役務提供契約の申込みを受けた場合におけるその申込みをした者又は販売業者若しくは役務提供事業者が営業所等以外の場所において商品若しくは指定権利若しくは役務につき売買契約若しくは役務提供契約を締結した場合(営業所等において申込みを受け、営業所等以外の場所において売買契約又は役務提供契約を締結した場合を除く。)若しくは販売業者若しくは役務提供事業者が営業所等において特定顧客と商品若しくは指定権利若しくは役務につき売買契約若しくは役務提供契約を締結した場合におけるその購入者若しくは役務の提供を受ける者(以下この条から第九条の三までにおいて「申込者等」という。)は、書面によりその売買契約若しくは役務提供契約の申込みの撤回又はその売買契約若しくは役務提供契約の解除(以下この条において「申込みの撤回等」という。)を行うことができる。ただし、申込者等が第五条の書面を受領した日(その日前に第四条の書面を受領した場合にあつては、その書面を受領した日)から起算して八日を経過した場合(申込者等が、販売業者若しくは役務提供事業者が第六条第一項の規定に違反して申込みの撤回等に関する事項につき不実のことを告げる行為をしたことにより当該告げられた内容が事実であるとの誤認をし、又は販売業者若しくは役務提供事業者が同条第三項の規定に違反して威迫したことにより困惑し、これらによつて当該期間を経過するまでに申込みの撤回等を行わなかつた場合には、当該申込者等が、当該販売業者又は当該役務提供事業者が主務省令で定めるところにより当該売買契約又は当該役務提供契約の申込みの撤回等を行うことができる旨を記載して交付した書面を受領した日から起算して八日を経過した場合'')においては、この限りでない。
2  申込みの撤回等は、当該申込みの撤回等に係る書面を発した時に、その効力を生ずる。
3  申込みの撤回等があつた場合においては、販売業者又は役務提供事業者は、その申込みの撤回等に伴う損害賠償又は違約金の支払を請求することができない。
4  申込みの撤回等があつた場合において、その売買契約に係る商品の引渡し又は権利の移転が既にされているときは、その引取り又は返還に要する費用は、販売業者の負担とする。
5  販売業者又は役務提供事業者は、商品若しくは指定権利の売買契約又は役務提供契約につき申込みの撤回等があつた場合には、既に当該売買契約に基づき引き渡された商品が使用され若しくは当該権利の行使により施設が利用され若しくは役務が提供され又は当該役務提供契約に基づき役務が提供されたときにおいても、申込者等に対し、当該商品の使用により得られた利益若しくは当該権利の行使により得られた利益に相当する金銭又は当該役務提供契約に係る役務の対価その他の金銭の支払を請求することができない。
6  役務提供事業者は、役務提供契約につき申込みの撤回等があつた場合において、当該役務提供契約に関連して金銭を受領しているときは、申込者等に対し、速やかに、これを返還しなければならない。
7  役務提供契約又は指定権利の売買契約の申込者等は、その役務提供契約又は売買契約につき申込みの撤回等を行つた場合において、当該役務提供契約又は当該指定権利に係る役務の提供に伴い申込者等の土地又は建物その他の工作物の現状が変更されたときは、当該役務提供事業者又は当該指定権利の販売業者に対し、その原状回復に必要な措置を無償で講ずることを請求することができる。
8  前各項の規定に反する特約で申込者等に不利なものは、無効とする。


(訪問販売における契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消し)
第九条の三  申込者等は、販売業者又は役務提供事業者が訪問販売に係る売買契約又は役務提供契約の締結について勧誘をするに際し次の各号に掲げる行為をしたことにより、当該各号に定める誤認をし、それによつて当該売買契約若しくは当該役務提供契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる
一  第六条第一項の規定に違反して不実のことを告げる行為 当該告げられた内容が事実であるとの誤認
二  第六条第二項の規定に違反して故意に事実を告げない行為 当該事実が存在しないとの誤認
2  前項の規定による訪問販売に係る売買契約若しくは役務提供契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消しは、これをもつて善意の第三者に対抗することができない。
3  第一項の規定は、同項に規定する訪問販売に係る売買契約若しくは役務提供契約の申込み又はその承諾の意思表示に対する民法 (明治二十九年法律第八十九号)第九十六条 の規定の適用を妨げるものと解してはならない。
4  第一項の規定による取消権は、追認をすることができる時から六月間行わないときは、時効によつて消滅する。当該売買契約又は当該役務提供契約の締結の時から五年を経過したときも、同様とする。


(主務大臣に対する申出)
第六十条 何人も、特定商取引の公正及び購入者等の利益が害されるおそれがあると認めるときは、主務大臣に対し、その旨を申し出て、適当な措置をとるべきことを求めること?ができる。
2 主務大臣は、前項の規定による申出があつたときは、必要な調査を行い、その申出の内容が事実であると認めるときは、この法律に基づく措置その他適当な措置をとらなければならない。


第七章 罰則
第七十条  第六条第一項から第三項まで、第二十一条、第三十四条第一項から第三項まで、第四十四条又は第五十二条第一項若しくは第二項の規定に違反した者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する
第七十条の二  第八条第一項、第十五条第一項若しくは第二項、第二十三条第一項、第三十九条第一項から第四項まで、第四十七条第一項又は第五十七条第一項若しくは第二項の規定による命令に違反した者は、二年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
第七十条の三  第六条第四項、第三十四条第四項又は第五十二条第三項の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は二百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

(特定顧客の誘引方法)
第一条 特定商取引に関する法律(以下「法」という。)第二条第一項第二号の政令で定める方法は、次のいずれかに該当する方法とする。
一 電話、郵便、民間事業者による信書の送達に関する法律(平成十四年法律第九十九号)第二条第六項に規定する一般信書便事業者若しくは同条第九項に規定する特定信書便事業者による同条第二項に規定する信書便(以下「信書便」という。)、電報、ファクシミリ装置を用いて送信する方法若しくは法第十二条の三第一項に規定する電磁的方法(以下「電磁的方法」という。)*1により、若しくはビラ若しくはパンフレットを配布し若しくは拡声器で住居の外から呼び掛けることにより、又は住居を訪問して、当該売買契約又は役務提供契約の締結について勧誘をするためのものであることを告げずに営業所その他特定の場所への来訪を要請すること。
二 電話、郵便、信書便、電報、ファクシミリ装置を用いて送信する方法若しくは電磁的方法により、又は住居を訪問して、他の者に比して著しく有利な条件で当該売買契約又は役務提供契約を締結することができる旨を告げ、営業所その他特定の場所への来訪を要請すること(当該要請の日前に当該販売又は役務の提供の事業に関して取引のあつた者に対して要請する場合を除く。)。

(1)本法では、1通常の店舗等以外の場所で行われる商品等の販売又は役務の提供及び2特定の方法により誘引した顧客に対する通常の店舗等で行われる商品等の販売又は役務の提供を「訪問販売」として広く対象とすることとした。
(注1)昭和63年改正前の訪問販売等に関する法律(以下「51年法」という。)では、「販売業者が営業所等以外の場所において、売買契約の申込みを受け、又は売買契約を締結して行う指定商品の販売」を「訪問販売」としていた。
51年法の立法に当たって取りまとめられた産業構造審議会答申(昭和49年12月16日)では、住居訪問販売に限って当面の対策を講ずるべきであるとしていたが、対象を広くとった理由は、イ通常の店舗等以外の場所で行われる販売は、住居訪問販売に限らず、(1)大なり小なり販売業者からの積極的な働きかけが購入の動機となるものであり、そのため購入意思の形成が不完全なものとなり易い点において共通性を有すること、(2)セールスマンと販売業者の責任関係が曖昧になり易い点において共通性を有すること。
ロ昭和47年改正で訪問販売に着眼した規制(契約の申込みの際の書面交付及びクーリング・オフ)を導入した割賦販売法においても、かかる観点から「訪問販売」を住居訪問販売に限定していないこと等である。


(3)第2号はいわゆるキャッチセールス等を「訪問販売」の定義に含めたものである。
ロ「その他政令で定める方法」についてはいわゆるアポイントメントセールス等の誘引方法を次の通り政令第1条で規定している。アポイントメントセールス等の誘引方法を政令委任としたのは、その実態が多様であり、また今後の誘引方法の変化に機動的に対処し得るようにするためである。
[1]電話、郵便、信書便、電報、ファクシミリ若しくは電子メールにより、若しくはビラ若しくはパンフレットを配布し若しくは拡声器で住居の外から呼び掛けることにより、又は住居を訪問して、当該売買契約又は役務提供契約の締結について勧誘をするためのものであることを告げずに営業所その他特定の場所への来訪を要請すること。
[2]電話、郵便、信書便、電報、ファクシミリ若しくは電子メールにより、又は住居を訪問して、他の者に比して著しく有利な条件で当該売買契約又は役務提供契約を締結することができる旨を告げ、営業所その他特定の場所への来訪を要請すること(当該要請の日前に当該販売又は役務の提供の事業に関して取引のあった者に対して要請する場合を除く。)。
[1]は、業者が販売意図を明らかにしないで消費者を呼び出す場合について規定したものである。例えば、「あなたは選ばれたので○○を取りに来てください」と告げる場合や、本来の販売の目的たる商品等以外のものを告げて呼び出す場合が本号に該当することになる。なお、勧誘の対象となる商品等について、自らそれを扱う販売業者等であることを告げたからといって、必ずしも当該商品について勧誘する意図を告げたものと解されるわけではない。例えば、こうした場合であっても、「見るだけでいいから。」と告げるなど販売意図を否定しているときや、着物の着付け教室と同会場で着物の即売会が行われる場合において、実際には着物を購入しなければ講習自体も受けられないにもかかわらず、着付け教室のみの参加が可能であるように表示するなどしているときには、当該商品について勧誘する意図を告げたことにはならない。また、パーティーや食事会等への招待のように告げながら、パンフレット等に消費者の目に留まらないような小さい文字で「新作商品をお勧めする即売会があります。」と記載するなど、実質的に販売する意図が示されているとは言えない場合は、当該商品について勧誘する意図を告げたことにはならない。なお、ビラ、パンフレット及び拡声器については、「商品を無料で配布する」等告げて行ういわゆるSF商法として行われるものを念頭においたものである。

解説
1 訪問販売、特に住居訪問販売や路上におけるいわゆるキャッチセールス等の場合、セールスマンが訪問目的等を偽って相手方に告げ、言葉巧みに取引に誘い込み、その結果消費者が知らず知らずのうちに商品を買わされてしまうという例がある。 訪問販売は、通常の店舗販売等とは異なり、基本的に相手方は望んでいないにもかかわらず不意に勧誘を受けるものである。 相手方は商品の購入等に全く関心がない、又は忙しくて時間を取られたくない等の理由から、勧誘そのものを受けることを拒否したいことが多い。 訪問目的等を偽って告げることは、相手方が、そのような勧誘を受けるか拒否するかを判断する最初の重要な機会を奪うものであり、こうしたことを放置することは、消費者利益の保護という観点から問題であるのみならず、ひいては、取引の公正を害し訪問販売の健全な発展を阻害することとなるので、販売業者等と購入者等との間の適正なルールを整備するという観点から本条を規定したものである。
2「訪問販売をしようとするときは、その勧誘に先立つて」


(3)具体的には、個々のケース毎に判断すべきであるが、住居訪問販売の場合であれば、基本的に、インターホンで開口一番で告げなければならず、またキャッチセールス又はアポイントメント・セールスの場合においては、当初から勧誘行為が始められる場合が多いことから、基本的に、呼び止めたり、電話をかけるなど相手方と接触した際に告げることとなる。


解説
1 第1項においては、そもそも勧誘に先立って、相手方に勧誘を受ける意思があることを確認するよう努めることを規定している。 したがって、第3条に規定する氏名等明示を行う際に、併せて勧誘を受ける旨の意思があることの確認が行われることを想定している。


2 第2項においては、実際に契約の勧誘が行われた際に、当該契約を締結しない旨の意思、即ち断りの意思を表示した消費者に対する勧誘を禁止する規定である。
(1)「契約を締結しない旨の意思」
「契約を締結しない旨の意思」については、契約の意思がないことを明示的に示すものが該当する。 具体的には、相手方が「いりません」「関心ありません」「お断りします」「結構です」「間に合っています」など明示的に契約締結の意思がないことを表示した場合であって、「今は忙しいので後日にして欲しい」とのみ告げた場合など、その場、その時点での勧誘行為に対する拒絶意思の表示は、「契約を締結しない旨の意思」の表示には当たらない。


また、意思表示の効果の範囲については、「契約を締結しない旨の意思を表示した者」に対して、その後引き続きの勧誘と再び勧誘を行うことを禁止している。


解説
1 第1項は、販売業者又は役務提供事業者が訪問販売に係る契約の締結についての勧誘を行う際又は契約の申込みの撤回若しくは解除を妨げるため、契約に関する重要な事項について不実のことを告げることを禁止する規定である。


(4) 「不実のことを告げる行為をしてはならない。」 「不実のことを告げる行為」とは、虚偽の説明を行うこと、すなわち事実と異なることを告げる行為のことである。事実と異なることを告げていることにつき主観的認 識を有している必要はなく、告げている内容が客観的に事実と異なっていることで足りる。相手方が錯誤に陥り、契約を締結し又は解除を行わなかったことは必要としない。本項の違反行為が詐欺罪の要件にも該当する場合に、両罪の観念的競合となる。
なお、刑事罰との関係では、刑法総則の適用により、不実の告知が故意になされた場合について処罰されることになる。他方、本項の違反は主務大臣の指示(第7条) 及び業務停止命令(第8条)といった行政措置の対象行為ともなっているところであ るが、上記の通り、不実の告知に対する主務大臣の指示、命令は、過失によりなされた場合であっても第7条、第8条の要件を満たせば行い得る
また、契約締結段階で告げている内容が実現するか否かを見とおすことが不可能な 場合であっても、告げている内容が客観的に事実と異なっていると評価できる限り不実の告知に該当する。(絵画のアポイントメントセールスにおいて、「近いうちにこの絵は必ず高騰して儲かります。」などと告げる場合。)


2 第2項は、販売業者又は役務提供事業者が訪問販売に係る契約についての勧誘を行う 際に、契約に関する重要な事項について故意に告げないことを禁止する規定である。勧誘に際して、役務の内容や商品の性能・価格・数量等について故意に告げないことによる消費者トラブルが増加していたことから、それまでは主務大臣による行政処分の対象 となっていたところを平成16 年改正において罰則をもって禁止することとした。


(2) 「前項第1号から第5号までに掲げる事項につき、」
重要な事項とはいえ不告知という不作為を禁止する規定であるため、その中でも当然告げられるべき第1項の第1号から第5号を対象事項とすることとした


(3) 「故意に事実を告げない行為」
ここでいう「故意」とは、「当該事実が当該購入者等の不利益となるものであることを知っており」、かつ、「当該購入者等が当該事実を認識していないことを知っていること」をいう。「故意に事実を告げない行為」をもって足り、相手方が錯誤に陥り、契約を締結し又は解除を行わなかったことは必要としない。本項の違反行為が詐欺罪の 要件にも該当する場合に、両罪の観念的競合となる。


4 第4項は、販売業者又は役務提供事業者が、訪問販売に係る契約の締結についての勧誘をするためのものであることを告げずに、営業所等以外の場所において呼び止めて同行させる等の方法により誘引した者に対して、公衆の出入りする場所以外の場所において、当該契約についての勧誘をすることを禁止する規定である。
これは、目的を告げずに公衆の出入りしない場所に誘い込んで、消費者が自発的に離脱できない状況で不意に勧誘が行われることにより、必ずしも強引な勧誘や虚偽の説明による勧誘のような不当行為が行われなくとも消費者が冷静な判断を行うことが困難となり不本意に契約を結ばされてしまうことによるトラブルが見受けられることから、平成16年改正で、そのような行為を禁止することとしたものである。
(1)「営業所等以外の場所において呼び止めて同行させることその他政令で定める方法により誘引した者」
いわゆるキャッチセールスと同様の方法により誘引した者に加えて、いわゆるアポイントメントセールスと同様の方法により誘引した者を規定している。
具体的には、政令第3条の2において、「電話、郵便、信書便、電報、ファクシミリ装置を用いて送信する方法若しくは電磁的方法により、若しくはビラ若しくはパンフレットを配布し若しくは拡声器で住居の外から呼び掛けることにより、又は住居を訪問して、営業所その他特定の場所への来訪を要請する方法」を規定している。
(2)「公衆の出入りする場所以外の場所において」
不特定多数の一般人が自由に出入りしていない場所において、の意味である。個々のケースにおいては実態に即して判断されることとなるが、例えば、事業者の事務所、個人の住居、ホテルの部屋や会議室、公共施設等の会議室、カラオケボックス、貸し切り状態の飲食店等は該当するものと考えられる。
(3)「当該売買契約......の締結について勧誘してはならない。」
上記及びの要件を共に満たす状況において勧誘をすること、すなわち本項で規定する方法により誘引した者に対して、公衆の出入りしない場所で勧誘をすることは、すべからく本項に違反する行為となる。 例えば、誘引した者に対し、公衆の出入りする場所で勧誘を始め、その後公衆の出入りしない場所で勧誘を行った場合でも、本項に違反する行為となる
公衆の出入りしない場所において勧誘を開始した時点で、本項に違反する行為となり、罰則及び行政処分の対象となる。
5 本条第1項から第3項の規定に違反した者には3年以下の懲役又は300万円以下の罰金(併科あり)、第4項の規定に違反した者には1年以下の懲役又は200万円以下の罰金(併科あり)が科せられる(第70条及び第70条の3)ほか、指示(第7条)、業務停止命令(第8条)の対象となる。


解説
1 第1項は、クーリング・オフ即ち申込みの撤回等を行うことができる場合を規定している。
消費者からのクーリング・オフを妨害するため、事業者が虚偽の説明を行ったり威迫して困惑させたりする行為は、罰則をもって禁止しており、このような違法行 為を受けてクーリング・オフできなくなった消費者が救済されないのは妥当でない。
したがって、このような事業者の違法行為を受けて消費者が誤認又は困惑してク ーリング・オフしなかった場合には、その消費者は、法定書面を受領した日から起算して8日を経過した場合(上記イ及びロ参照)であっても、いつでもクーリング・ オフできることとした。ただし、法律関係の安定性の確保にも配慮して、その事業者がクーリング・オフできる旨を記載した書面を改めて交付し、それから8日を経 過すると、その消費者は、クーリング・オフをすることができなくなることとした。


(4)「ただし、申込者等が第5条の書面を受領した日...この限りでない」
ただし書に該当する場合以外は、本条に基づくクーリング・オフを行うことができるという意味である。 したがって、この場合に、民商法原則に則って本来できる申込みの撤回又は契約の解除ができなくなるということではない。 本条は、これら民商法原則による申込みの撤回又は契約の解除とは別に、本条に規定するクーリング・オフを強行的に(第8項)定めようとするものであって、これ以外の申込みの撤回は契約の解除については、民商法一般原則及び当事者の特約によって規定されることとなる。
イ「第5条の書面を受領した日(その日前に第4条の書面を受領した場合にあつては、その書面を受領した日)」
1 販売業者又は役務提供事業者が第4条書面又は第5条書面を交付しなかった場合は、クーリング・オフの起算日は進行しないことになる。
2 また、これらの書面にクーリング・オフができる旨が記載されていないなど重要な事項が記載されていない書面は、「第4条又は第5条の書面」とは認められないと考えられる(記載事項については第4条の説明11を参照)。
ロ「から起算して8日を経過した場合」
この場合にはクーリング・オフができなくなるということであり、したがって、逆に、8日を経過するまではクーリング・オフをすることができ、あるいはまた第4条書面又は第5条書面を交付されなかったとき等は、クーリング・オフをする権利が留保されていることになる。
書面を受領した日を含む8日間が経過したときの意であるから、例えば、4月1日に法定書面を受領していれば、8日まではできるが、9日からはできない。
ハ「申込者等が、...書面を受領した日から起算して8日を経過した場合」
平成16年改正によって導入された規定である。それ以前は、消費者がクーリングオフをしようとした際に、販売業者又は役務提供事業者が「これは特別な契約なのでクーリング・オフできない。」等と虚偽の説明をしたり威迫を行ったりして、消費者が誤認(第9条の3の解説1参照)・困惑(第6条の解説3参照)してクーリング・オフできなかった場合でも、第5条の書面(その日前に第4条の書面を受領した場合にあっては、その書面)を受領した日から8日を経過したときは、クーリング・オフをすることができなくなってしまう状況にあった。
消費者からのクーリング・オフを妨害するため、事業者が虚偽の説明を行ったり威迫して困惑させたりする行為は、罰則をもって禁止しており、このような違法行為を受けてクーリング・オフできなくなった消費者が救済されないのは妥当でない。
したがって、このような事業者の違法行為を受けて消費者が誤認又は困惑してクーリング・オフしなかった場合には、その消費者は、法定書面を受領した日から起算して8日を経過した場合(上記イ及びロ参照)であっても、いつでもクーリング・オフできることとした。 ただし、法律関係の安定性の確保にも配慮して、その事業者がクーリング・オフできる旨を記載した書面を改めて交付し、それから8日を経過すると、その消費者は、クーリング・オフをすることができなくなることとした。


なお、事業者が上記の法定書面を交付するにあたっては、「主務省令で定めるところにより」交付する必要があり、省令では、当該書面の記載事項、様式の他、交付の際の事業者の説明義務を定めている(省令第7条の2)。 よって事業者は、上記書面を交付するとすぐに、消費者がその書面を見ていることを確認した上で、消費者に対して「これから8日経過するまではクーリング・オフできる」こと等を口頭で告げる必要があり、そのようにして交付されなかった場合は、交付より8日間経過した場合であってもその消費者は依然としてクーリング・オフすることができることとなる。 一度、不実告知や威迫といったクーリング・オフ妨害行為を受けた消費者は、クーリング・オフできないと思い込んでいることも多く、「依然としてこれから8日経過するまではクーリング・オフできる」旨が記載された書面をただ交付されただけでは、このような消費者の十分な救済とはならないことから、このような説明義務を規定したものである。

Last modified:2018/02/19 12:40:56
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