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版画の基礎知識 - History

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!版画の種類
'''版画は、同じ物を安く作る技術'''であり、手描き原画と比べて格段に希少価値や芸術的価値が劣ります。版画技法の詳細は以下を参考にしてください。

*[[版画技法辞典|http://www.ddart.co.jp/yougojiten.html]]
*[[版画の技法 版画 −ゆとり生活社|http://www.yutorilife.com/hanga/hanga_gihou.html]]
*[[スリーアール - ポスターとシルクスクリーンの違い|http://www.5r-2.com/modules/guide/content0032.html]]
*[[石橋版画工房/ラール・ヴェリテ リトグラフ研究所 リトグラフとは|http://lithograph.jugem.jp/?cid=4]]
*[[そぼくなQ&A|http://www.rakuten.ne.jp/gold/seibidou/qate.html]]

以下、抜粋してまとめます。
!!シルクスクリーン
孔版印刷と呼ばれる[[プリントゴッコ|http://www.riso.co.jp/pg/pg/pg5.html]]と同じ原理を用いた版画手法です。
1つの版で色の濃淡を表現できない(濃淡表現には大きな網点が必要で芸術用途には耐えない)ため、多色刷りを行なう場合は、製版数が色数分だけ必要になります。
色別に版を作るために、'''各色が極めて鮮やかに表現される'''ため、ポップアートで好んで使用されます。
一方で、グラデーションを多用した写実的な絵に使用しようとすると、中間調の色全ての製版が必要になるため、そのような絵には向きません。
最大で千枚くらいまで印刷可能です。
!!リトグラフ
石灰石版もしくはその代用品に油性のクレヨン等で直接図版を平版印刷手法です。
濃淡表現が可能なため、シルクスクリーンと比べて'''少ない製版数での多色表現が可能'''です。
最大で200〜300枚くらいまで印刷可能です。
!!オフセット印刷
基本原理はリトグラフと同じですが、機械的に色分解(写真製版)して版を作ります(本物のリトグラフは手作業で版を作る)。
紙に転写する前に、一度、中間転写体に転写するため、'''輪転機による大量印刷が可能'''で、印刷コストは非常に安くなります。
濃淡をインクの色を変えずにドットの大きさ等で表現するため、印刷物には[[網点が生じます|http://sekichiku.freehosting.net/candy_nise_tetsujin.htm]]。

最近は、線数(解像度)そのままで網点を目立たなくする方法([[FM方式|http://www.t-dacs.com/fm/]]等)や線数を増やした[[高詳細オフセット印刷|http://www.wave-inc.co.jp/products/kouseisai.html]]も使われます。
手元に高詳細オフセット印刷と思われる温泉旅館のパンフレットがありますが、肉眼ではほとんど網点を確認できません。
ただ、よく見ると、微妙にざらついた感じがあり、一部に[[ジャギー|Wikipedia:ジャギー]](輪郭部のギザギザ)が出ています。

一般に「オフセットリトグラフ」と称する物は、通常のリトグラフではなく、オフセット印刷のことです。
!!シバクローム
一種の写真現像手法です。
通常の写真は感光部を薬品で発色させる「発色現像法」ですが、シバクロームは感光部の色素を薬品で除外する「銀染料漂白法」を用いるため、耐久性に優れています。
!!ジークレー(アイリス)
平たく言えば、業務用の高性能インクジェットプリンターです
。ただし、プリンターの値段は個人で買えないくらいに高く、一般の市販品よりは格段に高性能です。
!!ミクスドメディア
本来の意味は、油絵と水彩絵の両方を使用する技法のことですが、某社がクリスチャン・ラッセンの版画手法をミクスドメディアと称するようになって以降、版画の世界でもこのような呼び方をするようになりました。
語意は「混合技法」であるので、複数の技法を組み合わせれば何でもミクスドメディアと呼べます。
//もっとも質が悪い物は、写真製版オフセットにシルクスクリーン技法でニスを塗っただけの'''粗悪品'''もあり、この場合は、ニスの分の盛り上がりを立体感と称しています。
!オリジナル版画の定義
[[日本現代版画商協同組合|http://www.nippansho.or.jp/]]によれば[[オリジナル版画の定義|http://www.nippansho.or.jp/hanga/yomimono_kaikata.html]]の定義は次のとおり。

""(1)'''版画を制作する目的'''をしっかり定め、作家自身が下絵を描き、作家が木版・銅版・石版・孔版 その他の版を描き、'''自刻(製版)'''したもの。{{br}}
""(2)作家自身が自らの手で刷るか、機械(プレス機)で刷った作品、もしくは作家の監督下で職人がその指示のもとに刷ったもの。{{br}}
""(3)完成した作品の1枚1枚を作家が容認したもの、もしくは職人が製版し刷り上がった作品を作家自身が容認したもの。{{br}}
""(4)完成した作品の版面左下に限定番号(エディションナンバー)を、右下に自筆署名したものを原則とする。番号とサインの位置については、他の場所でも可とする。{{br}}
""(5)あらかじめ決定した限定部数を刷り終えた版上には、斜線1本か×印を入れ、あるいは版に明白な穴をうがつなどし、原版を廃版とする(これをレイエという)。レイエは、海賊版や作家の監修をもたない刷りものが市場に出ることを、未然に防ぎます。{{br}}
""以上の主な条件のなかでも、その版画がオリジナルなものかどうかを判定する'''最も重要な要素は'''、(1){{fn('読めないんで文脈から推測')}}の'''「作家自身が<版画を制作する>という目的と意志'''を明確に持って、版の創造にたずさわったかどうか、この点に集約されます。

版画を作る'''設計図としてのみ下絵が存在'''し、作品としての'''完成形が版画'''である場合に、初めて、版画がオリジナルと言えるのです。
原画の段階で作品として完成しているのなら、それを元にした版画は原画に似せた'''複製'''に過ぎません。そうした版画において品質を高める作業は、単に原画に限りなく近づける作業であって、それは複製の正確さを追求する作業に過ぎません。
だから、複製を作るのに、どれだけ品質を追求しても、どれだけこだわりを持っても、どれだけ技術を駆使しても、決して、オリジナルにはなれないのです。
たとえ、その作業に原画家が関わっていたとしても、それは「原画家が自分の作品を複製した」以上の作業には成り得ません。
逆に言えば、オフセット等の低品質の絵画であっても、それが作品としての完成形であれば、それはれっきとしたオリジナルです。
ただし、定義上でオリジナル版画となるだけであって、オフセット印刷には美術的価値はありません。

*[[コラム「リビングに絵画を」:DEPO.JP|http://www.depo.jp/ilista/column05_html]]

""''オリジナル版画とは、画家が自らプロデュースし、版上のすべてのタッチ、色彩をチェックして自らの作品だと認めた場合に限って、その作品を画家のオリジナル版画とよびます''。この場合、エディション(限定)数が極端に多くない限り、通常画面の右下に鉛筆で、作家直筆のサインがほどこされます。それに対して、''ある画家の作品を版画作品におこしたいとき、その画家の原画を元に別の刷師のプロデュースで最後まで作品が制作された場合、その作品を複製版画(エスタンプ)とよんでいます''。この場合、通常は画家はサインを入れず、刷師のサインや画家本人が亡くなっている場合には遺族のサインがはいるのが一般的です。

""これは''彼らが、版画というものを油彩作品とは完全に区別してとらえていて、版画は版画としての美しさや、表現の可能性を追求するために制作していた''ことを意味しています。
Last modified:2024/03/29 14:57:26
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